音楽性と知性を合わせ持つ若林暢の慧眼をもってして生まれたこの論文は、バッハからストラヴィンスキーまで題材も多岐にわたり、さまざまな描かれ方をしている「悪魔」の姿を、膨大な資料をもとに鋭い切り口であぶり出しています。旋律だけでなく和声的な観点からの分析も多く、自論を裏づける材料も満載です。 そしてやはりヴァイオリニストだけに、悪魔とヴァイオリンのつながりを強く意識しつつ、パガニーニその人についての項目も充実しており、自身の演奏経験も存分に生かされています。演奏家をはじめ、多くの人にとってより深い理解に役立てばという想いの詰まった1冊です。
『悪魔のすむ音楽』
若林 暢 著 / 久野理恵子 訳
並製・A5判・192ページ
定価1944円(本体1800円+税8%)
音楽之友社
ISBN : 978-4-276-13056-2
目次
序論
第1章 音楽の中の悪魔~1800年以前
第1節 概説
第2節 J.S.バッハ:カンタータ第19番 冒頭の合唱
第2章 19世紀初頭の名曲
第1節 シューベルト:《魔王》
第2節 ウェーバー:《魔弾の射手》より「狼谷の場」 冒頭
第3章 音楽の中のメフィストフェレス
第1節 メフィストフェレスの歴史
第2節 リスト:《ファウスト交響曲》の
「メフィストフェレス」の楽章
第3節 ゲーテの「ファウスト」に基づく他の名曲
1.グノー:《ファウスト》
2.ベルリオーズ:《ファウストの劫罰》
3.ボーイト:《メフィストーフェレ》
第4章 死のライトモティーフ「ディエス・イレ」
第1節 ベルリオーズ:《幻想交響曲》
第2節 「ディエス・イレ」が用いられた他の名曲
1.リスト:《死の舞踏》
2.イザイ:無伴奏ヴァイオリンソナタ第2番
3.ラフマニノフ:《パガニーニの主題による狂詩曲》
4.スクリャービン:ピアノソナタ第9番「黒ミサ」
第5章 悪魔の楽器 ヴァイオリン
第1節 概説
第2節 パガニーニ
第3節 タルティーニ:《悪魔のトリル》
第4節 リスト:《メフィスト・ワルツ》
第5節 サン=サーンス:《死の舞踏》
第6節 マーラー:交響曲第4番第2楽章
第7節 ストラヴィンスキー:《兵士の物語》
結論
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若林 暢 プロフィール
Nobu Wakabayashi (1957年8月30日〜2016年6月8日) 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、東京藝術大学、同大学院を経て、ジュリアード音楽院を卒業。1995年「音楽に登場する悪魔」の論文で博士号を取得。コンクール歴は、1986年、ニューヨーク国際芸術家コンクール優勝、ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞、最優秀音楽解釈賞、ヘンリク・シェリング賞、ワンダ・ウィルコミルスカ賞、ポズナン市長賞も併せて受賞。その他モントリオール国際コンクールなど入賞多数。
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2018年12月19日発売
彼女の音源は数えるほどしか残されていない。しかも大半は年月とともに劣化した。その中で奇跡的に残された演奏がはるかヨーロッパのポーランド放送局で見つかった。 …
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